Faculty Development 会場は、学生たちが談笑したり昼ご飯をとったり勉強したりしているラーニングコモンズなので、参加人数は不明であるが、プレゼンテーションが進行する中、談笑していた学生たちがスライドに注目しはじめ、ラーニングコモンズ全体が静まりかえる様子は壮観であった。また、ポスターやフライヤーを見てそのために集まってきたらしい学生も確実に一定数いるようであり、回を重ねごとに、教員と学生の間で話題になることも多くなってきた。 FD活動の観点からの本実践の効果としては、次の三点が挙げられる。 第一に、教員間の対話の促進である。プレゼンテーションをきっかけに、あちこちで教員同士が意見交換する姿が頻繁に見られるようになった。その中には、英語英文学科の教員と日本語日本文学科の教員が、話題になったテーマを巡って盛り上がる姿もあり、専門の壁、学科の壁を越えたコミュニケーションは確実に促進された。これは、2019年度に実施した「表象文化フェス」の成果を発展させるものでもある。また、京田辺にも広報を行っていることで、京田辺キャンパスの先生から、テーマに関連する差し入れと情報提供をいただくなど、その輪はキャンパスをも越えかけている。 第二に、授業改善に直結する技術の情報交換である。日頃目にすることのない、他の教員のプレゼンテーションの技法やスライド作成の技術が大変参考になるという教員の声が寄せられており、実際にスライドの作成方法について質問する姿も見られる。 第三に、教員自身の教育研究内容の客観視という効果である。授業という枠組みがない中で、一般の学生と、身近でかつ専門外, あるいは、近接領域教員が混在する聴衆を対象に、短時間に興味をひくプレゼンテーションを行うことは、担当者が自分の研究の社会的意義や面白さを見直す上で大変効果的である。過去4回のプレゼンテーションは、いずれも大変中身の濃い、質の高いものであり、なおかつ、聞いていてとても楽しいものであった。まだ担当していない教員も、それぞれに良い意味でのプレッシャーを感じつつ、自分はどんな話題提供をしようかということを楽しく考えるようになっている。 その他表立っては見えない効果も含め、現時点で、本実践は、FD活動として効果的に作用しているといえる。ただし、義務として形骸化してしまっては弊害も出て来るであろうと予測される。そのためにも「楽しむ」「自由である」「開かれている」という原則を大切に、構成員の意見を十分に反映させながら、当面、この実践を継続して行きたいと考えている。 35
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