Faculty Development 現代社会学部では、「チョコっとFD」という名称で、学部教員会議の開始直前に10分間のFD研修を2017年度から始めて5年目になる。学部教員が毎回1名ずつ、自分の授業について、実践報告を行って来た。以前は対面で行っていたが、Microsoft Teamsの「共有」画面を通して発表が行われ、聞き手の教員が発表者に対してチャットでコメントを送る。最初 ◇現代社会学部 「〈学部の多様性を協働の力へ〉~現代社会学部のFD活動」 現代社会学部長 塘 利枝子 はチャットの送り方が分からず戸惑っていたが、回を重ねる度にチャットによるコメント送信にも慣れてきた。Microsoft Teamsを利用するようになってからは包装紙に応援メッセージを書くチョコレートがその場で配られることはなくなったが、発表者にはささやかなご褒美としてメールボックスにチョコレートが届く仕組みである。短い時間の「ちょっと」と、「チョコレート」を意味する「チョコっとFD」はオンラインになってからも継続して行われている。5年間も継続してくると、まさに「継続は力なり」でほぼ全教員の授業の取り組みの様子がわかり、それぞれの個性とともに、学部内での授業同士の関連性も見えてくる。 2021年度は、ゼミでの取り組みを研修のテーマにすると共に、2020年度と2021年度に現代社会学部に着任された新任教員の授業の取り組みについてのFD研修を行った。春学期は主としてゼミ運営の工夫や重視していることについて4人の教員に話してもらった。その中ではゼミの学生同士が協働する環境を構成する教員の役割の重要性や、コア・グループの活用などの指摘がなされた。多分野にわたるゼミが開催されている現代社会学部では、学生の興味関心もさまざまであるが、その中でもゼミ運営の共通性を見つけることができた。 秋学期は新任教員の授業の取り組みについての発表であった。教職歴の長い教員の発表においては、理論、計画、実践・省察などPDCAサイクルを学生の中にいかに根付かせるかについて、理論と実践を踏まえた授業が紹介された。教職歴の短い若手の教員からも、社会とのつながりを意識させた授業の実践例が紹介されるとともに、学生の意欲に応じた臨機応変な授業内容の工夫やその難しさが紹介された。それらに対しては、聞き手の教員がチャットで新任教員にアドバイスのコメントを送るなど、それぞれにとって有意義なFD研修になったと思われる。 さらに秋学期には「チョコっとFD」に加えてコンプライアンス研修が開かれ、学生に対する研究倫理教育の取り組みと研究費の不正をテーマにした。各自の取り組みや疑問点などについてMicrosoft Teamsのブレイクアウトルームを活用して少人数で話し合いながら、各教員が授業の中で取り組んできた事例の紹介をしたり、研究費の不正を起こさないための方法を考えた。その後、全体会では各グループのディスカッションの内容についての紹介があった。 現代社会学部の特徴の一つとして、多分野の教員から構成されていることがあげられる。今年度のFD研修の発表者の分野を見ても、語学、多文化、福祉、ジェンダー、メディア、29
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