FDreport_vol15
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13効果は高くないという話がありました。さらには格差の助長が加速されます。オンライン教育のみの場合は修了率が5%だけというのも有名な話です。 さらには多様性を考えたり、学生のエンゲージメント、学生が熱中したり意欲を持って、エンゲージメントは婚約ですので、自分の学びとしっかりと結びつけられていくというミッションを掲げない大学は見放されるようになってきていますし、知の創造を行うエンジン、「知識革命の時代」に向かう触媒に、大学はなっていくでしょう。 先ほど見てきた四つの高次の能力を備えたカリキュラムを作れる大学。それを私たち大学教員が作れるかどうか、それは大学自身の経験学習ですね。やってみて、それがなんだったのかを知って、またトライしていくという経験学習の体裁をとります。 技術リテラシーはハードウェアの理解。データリテラシーはソフトウェアの理解。そして、ヒューマンリテラシーはヒューマンウェアに対応します。大学構成員の新しい役割につながっていくかもしれません。 非対面型に伴っては、教育技法は変化していきます。先ほど、学生エンゲージメントという見慣れない言葉をお話ししましたが、Teaching with Technologyというのは、技術を使って教育をよくしていくという活動です。この二つの事業設計。Learning with Technologyは、いろいろな場所でいろいろな学び方を学生が選択できるということで、ユニバーサル・アクセスや、ハイフレックス。ハイフレックスを翻訳して紹介したのは私ですけれども、対面とオンラインを同時に行うことができる形態の一つです。そのためには、人の構成や共同体づくりが大変です。オンラインでもTAやSA、チューターの養成が大切になってきます。 ハイフレックスの理学療法の大学院の事例です。 病院勤務の社会人大学院生たちが、大学に出てこれなくなりました。対面では6名、オンラインでは15名がカメラを切り替えながら教室の外にいます。 どうやったかといいますと、iPadを立てて、スピーカーフォンで討論をしている様子です。幸運なことに、iPadの大きさってちょうど顔の大きさなんですね。うまくファシリテーションしていきますと、ちゃんと対面と教室は混ざっていきます。この様子を世界中、日本中の人が聴講している状態です。 FD研修もいろいろなオンライン化を生みました。私もFDの人間だという話をしましたが、授業設計のためのFD研修を年15回、のべ1000名。これをオンデマンド録画にしておいたのですが、年8500の視聴が金沢大学の中でありました。100倍の規模です。こんな時代になるとは私、とっても思ってなかったですけれども、多くの教員が新しい技術を学ぶために対面、オンライン、オンデマンド、全部組み合わせて受講したんですね。TA研修もオンデマンド化しましたし、図書館のラーニングサポートもオンライン化されました。 ハイフレックスの実技試験です。医学教育では、社会人の模擬患者を含めたOSCEと呼ばれる試験が必要なのですが、附属病院での実施のためにiPadを100台かき集めてきて、1週間で設営しました。来週もやると聞いてい

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