FDreport_vol15
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124.大学教育の再設計 ハイブリッド学習について出てきましたので、最後に簡単ではありますが、再設計の指針と実例についてお伝えしておきたいと思います。 学びの方法の変化は、アクティブラーニング型授業やタブレット利用の学習ということで、高校や大学でもさまざま生まれてきていると思います。ただ、一方的に聞いている状態ではなくなってきたでしょう。 個人が学ぶことから、ペアやグループで学ぶ。これは協働学習のことですが、教室の中に社会が入っていく。社会で学んだものが、また教室の中に戻ってきて、アクティブラーナーになっていく。社会を自らが形成できる主体になることを、アクティブラーナーといいます。こういったアクティブラーナー、生涯学習者を生み出すのが実はアクティブラーニング型授業だったということを前提の上で、参考ですけれども、私たち教師がこの仲立ちになっていく。企業と一緒に作っていったり、社会と一緒に作っていったりします。 『ROBOT-PROOF』の示唆ですけれども、AI時代、第4の変革の時代に直面する状況だったのですが、コロナ禍によって一斉にデジタルツールを使うようになりました。ただし、先ほど、オンラインのみ、対面のみの学習は 教員、学生はどうでしょうか。150万人の大学教職員のうち、アメリカでは120万人近くが教育専念教員になってきています。日本ですと20万人が大学教員なんですが、その中で研究専業は6万5000人しかいないそうです。こういったモジュールの教育型に行くにしたがって、教員同士の協力、それから教員自身の生涯教育、伝統的じゃない教育スキルの把握というか、FDが大切になっていきます。 それから卒業生にとっても、母校が新しい就職活動の場になっていく、斡旋になっていくこともあります。おそらくは大学はそういう就職ネットワークへのクラブに変わっていくということでしょうし、MITが提供しているオンライン学習プログラム、一番喜んでいるのは卒業生だそうです。自分が受けた授業がすべてオープンコースウェアという形でオンライン化されているのですが、オンライン教育によって、私はあんなに質の高いプログラムを受けてきたんだと自慢ができるのは卒業生なんだそうです。 大学相互についても変化が促されていくでしょう。自動化、AIによってほぼすべての者が先端技術を学ぶ必要がありますので、生涯学習者に転換されていく。今度は生涯学習者が存在するところまで大学が出向くことになりますので、州、国家、県境を越えてネットワークを組む必要があるでしょう。 日本はわりと見過ごされているというか、価値がないと思われているふしがあって、すでに日本以外のあらゆる拠点には、各大学は拠点校をアジア圏にもう置いています。ニューヨーク大学もアブダビやシンガポールにありますけども、日本にはないんですよ。日本を除いたところはもうグローバルなコミュニティを作り始めています。学際的なプログラムですね。異分野のアジリティ、鋭敏なシステム思考が必要になってくるということでした。

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