2020年5月 今月のことば

2020/05/06

だから、わたしたちは落胆しません。たとえわたしたちの「外なる人」は衰えていくとしても、わたしたちの「内なる人」は日々新たにされていきます。わたしたちの一時の軽い艱難は、比べものにならないほど重みのある永遠の栄光をもたらしてくれます。わたしたちは見えるものではなく、見えないものに目を注ぎます。見えるものは過ぎ去りますが、見えないものは永遠に存続するからです。

(コリントの信徒への手紙Ⅱ 4章16節~18節)
日本聖書協会『聖書 新共同訳』より


使徒パウロがコリントの信徒へと宛てた手紙の中で、パウロは「私たちは落胆しない。」と書いています。迫害や困難のなかにあったパウロが、落胆せずに生きることが出来たのは、彼が自身の「外なる人(肉体)」ではなく、日々新しくされていく「内なる人(内面や霊魂)」に目を留めていたからと思われます。そして、パウロが勇気を失わずに生きることができたのは、自分が受けている「艱難」の向こうに待つ、大いなる「栄光」をみていたからです。一時的な「見えるもの」に目を奪われ過ぎず、永遠に続く「見えないもの」が重要であるパウロは言います。

例年であれば、春の訪れと共に、活気づくキャンパスですが、今年度は新型コロナウイルス感染症対策のために、入学式を始めとする多くの学内行事が中止となりました。新しく始まる大学生活への期待と希望で胸を膨らませていた新入生の皆さんは、少なからず戸惑いを感じているでしょう。しかし、落胆ばかりしていられません。今、世界中の医療従事者が、患者の命を救うため日々奮闘しており、創薬研究者は治療薬やワクチンの開発を最優先で進めています。私たちに求められていることは、感染を拡大させない努力です。

2020年度の宗教部年間テーマは、「見えないものに目を注ぐ。―互いの心を分かち合おう―」です。我々が、コロナウイルスに打ち勝った後に訪れるであろう栄光を希望とし、今は、一人ひとりが、互いに思いやりのある行動をとる時期です。困難な状況であるほど、我々は冷静沈着になり、自らの行動に責任を持つことが必要です。パウロが言ったように、私たちは勇気を失わないでいたいと思います。

(Philip White)