2018年7月 今月のことば

2018/07/02

   今出川キャンパスの南向かいに茂る豊かな緑…。東西は寺町-烏丸通り間、南北は今出川-丸太町通り間に約65haの京都御苑が広がっています。京都御苑は、かつては宮家や公家の邸宅が立ち並んでいたエリアで、戦後に国民公園として整えられました。その中には1331(元弘元)年から 1869 (明治2)年までの約500年の間、歴代の天皇がお住まいになられた京都御所があります。

   現在では、この京都御所は、日本の歴史的価値のある観光スポットとして、国内外に知られています。以前は、事前に申込みをするか、春と秋の一般公開期に混み合う中参観するかでしたが、2年前から一年を通して無料公開がなされるようになり、簡単に参観できるようになりました。

   先日、京都観光に訪れた知人のリクエストで一緒に御所に向かいました。3ヶ国語のガイドツアーや6ヶ国語ものスマホ向けガイドアプリが用意されており、歴史や施設の特徴などの解説を聞きながら廻ることができるというサービスの充実ぶり。見どころや裏話を盛り込んだガイドに導かれ、知的好奇心を満たしながら1時間ほどかけて公開エリアを巡りました。

   暑い夏に涼を取るための建造物の工夫、「御所透かし」の手入れがなされた松の木々、丹色(にいろ)で塗られた朱い柱、雛飾りのモデルとなった「左近桜」「右近橘」・・・等々。

   解説も面白かったのですが、一番印象深かったのは、出口へ向かう広場で振り返った時に目に入ってきた景色でした。形の良いツヤのある緑の松と檜皮葺の建物、大文字山という素晴らしい光景に感動を覚えました。観光のお付き合いのつもりでしたが、日本で育まれてきた文化を直に感じ、豊かな心になれるひと時となりました。

   時にはちょっと寄り道をして、キャンパスという日常空間のすぐ隣に息づく日本の文化の一端がどんなものか、確かめてみてはいかがでしょうか?  (dot.)