2016年12月 今月のことばを掲載しました。

2016/12/01

 今年も最後の月になりました。皆さんにとって今年はどのような年でしたか?来る年が、皆さんにとって、社会にとって、平穏、平和な年でありますように。
 今年はブラジルのリオデジャネイロでオリンピック、パラリンピックがありました。オリンピックのシンボルマークの5輪は、5つの大陸(アジア、ヨーロッパ、アフリカ、南北アメリカ、オセアニア)がつながって世界が1つになっていることを表しています。
 でも、「平和の祭典」「スポーツの祭典」の理念が貫かれないこともありました。例えば、1968年メキシコ大会では、男子200メートル競走で優勝した選手と3位の選手(ともにアフリカ系アメリカ人)が、表彰台の上で頭を垂れ黒い手袋をはめた拳を高く上げて、黒人差別に抗議しました(ブラックパワー・サリュート)。この静かな抗議行為に対して、IOCはメダルを剥奪したうえで、オリンピックから追放しました。1972年のミュンヘン大会では、オリンピック開催中に、パレスチナ武装組織が選手村のイスラエル宿舎に乱入して、2人を殺害して9人の選手達を人質にとりました。この事件は、人質全員と警官1人、ゲリラ5人が亡くなるという最悪の結果となりました。1980年のモスクワ大会では、前年に行われたソビエト連邦のアフガニスタン侵攻に反発して、アメリカの主唱で多くの国がボイコットし、その中には日本も入っていました。西ヨーロッパ、オセアニア諸国の大半は、開会式や表彰式で国旗・国歌を使用せずに参加しました。当時、ロシア人の留学生が、「日本も参加したらよかったのに」と残念そうに言ってくれ、その後も私たちとの関係は変わらぬ友好的なものでした。そして、4年後1984年ロサンゼルス大会では、ほとんどの東ヨーロッパ諸国が報復ボイコットを行いました。
 しかし、悲しい出来事ばかりではありません。2000年シドニー大会の開会式では、先住民アボリジニ出身者が、最終聖火ランナーになりました。また、北朝鮮と韓国の選手団が統一旗を掲げて合同入場行進を行いました。今年のリオデジャネイロ大会では難民選手団が5輪旗を振って入場しました。
 さて、2020年東京大会はどのような大会になるのでしょうか。立派で派手でなくてもいい、「平和の祭典」にふさわしい内容となりますように。
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