ドル安が進行している。ドル安ということは、ユーロ高であり、円高であるが、アメリカ・ヨーロッパ・日本、三つの政府・金融当局の対応がはっきりと分かれている。というか日本が孤立している。なぜだろうか。
ユーロ高に対して、6月初めドイセンベルク欧州中央銀行総裁は「ユーロ高はインフレを抑制する。大歓迎だ」(日経新聞、6月28日)と発言し、ニコニコ顔の様子である。誕生以来ドルに対して弱くなってしまったユーロがこのところドルに追いつきそうな状況である。追い越してドルより価値のある強いユーロの復活が近いとみる市場関係者も増えている。
6月26日アメリカのフライシャー大統領報道官は、「強いドル政策は不変である」と記者会見で言明している(同上)。今、一時的に弱くてもアメリカ経済の回復を反映してドルは必ず強くなると他の政府関係者も一様に言っており、現状を容認する姿勢である。
上の欧米のスタンスと異なり孤立しているのは、日本である。いつもと同じように、急激な円高はデフレ脱出の救世主・輸出の足を引っ張りかねないと懸命な円高阻止政策を実施している。5月以降6月28日までに6回、政府による外為市場への、円売り・ドル買い介入を実施した。つまり、円資金を用意して、外為市場でドルを買う操作を行うのである。買ったドルは世界一の外貨準備高4,200億ドルに上積みされる。
問題はドル買いに要した円資金3兆円である。政府はその調達のために短期の為替証券(通称FB)を発行する。一種の国債であり、本年3月末に600兆円を超えた国の借金の上積みとなる。こうした円建ての借金を持ち、片方で外貨準備、つまり米国債を持っているのは、外国為替資金特別会計である。この特別会計は、超低金利の円を借り、一方で年5%弱を稼ぐ米国債に運用しているから金のなる打出の小槌であり、税収が減っている政府としては今の時期絶対に手放せない収入源となっている。現に毎年1兆円を超える収益を上げ、一般会計に繰り入れている。
ドル運用中心のこの特別会計にとって恐ろしいのは、為替リスクで円高である。円安誘導こそが保身術ということになる。こんな深読みが真実でないことを祈るのみである。日本も欧米並みに「円高歓迎政策」に転換出来るのはいつの日だろう。 |